便秘、トイレ、浣腸… | |
AllAbout |
便秘とはどんな状態? >> |
最近お腹が張って苦しい、便が出そうな感じなのになかなか出ない、便が出たのに何かスッキリしないなど、中高年になって便秘に悩むようになった人は多いようです。なかには、自分ではそれと気づいていない便秘の方も。そんな便秘の予防策や解消法を、「薬」ガイドの三上 彰貴子氏が、「東京慈恵会医科大学 葛飾医療センター」の有廣 誠二先生に聞いてきました。 |
三上 彰貴子氏(以下、三上):中高年になって便秘になる方が増えていると聞きますが、実際はいかがでしょうか? 有廣 誠二先生(以下、有廣):そうですね。50歳を超えたあたりから、便が3〜4日出ない、いきまないと出ない、あるいは残便感があるといった方は増えてきます。 三上:便秘になってしまった場合はどうすればいいのでしょうか。 有廣:食生活の変化によって繊維質の摂取や食事量自体が減ったとか、運動不足で筋力が弱ってきたということが多いです。また、水分摂取量が少なくなったのが原因という方もいらっしゃいます。もちろん、加齢のために腸の機能がだんだん衰えてきたりしているという背景もありますね。そういったケースの場合は生活習慣を整えることで多くの方は改善が見込めると思います。 三上:腰や膝が悪い方など、運動が負担になる場合もありますね。 有廣:そういった方は座った状態で上半身をねじったり、お腹周りを手でさするなどしてあげてください。腸に刺激を与えることで大腸にたまっている便が出やすくなります。 |
三上:生活習慣という意味では、トイレに行く習慣をつけるというのも良いのではと思うのですが。 有廣:その通りです。例えば、朝食後30分ほどしたら便意がなくてもトイレに座る、といったことを続けていると、排便のリズムが整ってくるようになります。 三上:どうしても出ない場合は、浣腸という選択肢もあるということですね? 有廣:それだけに頼るのではなく、排便リズムを整えるために使用するのはいいと思います。 三上:どのような場合に浣腸を使うと良いのでしょうか? 有廣:便が直腸まで来ているのに、肛門手前のところで詰まってしまっていて出てこない、という場合です。浣腸の中に含まれている薬剤の効果で、便が腸の壁をすべりやすくなり、また、腸が刺激されて動きが活発になることで便が出やすくなります。何度か使って、腸に詰まっている便がなくなると、直腸の中を便が通りやすくなり、自力で出せるようになることが多いようです。 三上:腸の中の“便のめぐり”をよくしてあげる、ということですね。それが習慣になれば、便秘に悩まなくて済みますね。長い目で見てそうした状態を目指す一方で、旅行に行った時など、環境が変わることで一時的になってしまう便秘にも、浣腸は役に立つのではないでしょうか。 有廣:そうですね。即効性も浣腸の特徴のひとつですから、旅行時はもちろん、行事や重要な仕事の前などに使うというのもいいかもしれませんね。 |
三上:高齢者が浣腸を使用する場合に、特に気を付けなければいけないことというのはありますか? 有廣:挿入した後、容器もゆっくり押してください。冷たい薬液が一気に体内に入ってしまうと、人によっては血圧が急激に下がってしまう方もいらっしゃいます。体温くらいに温めて使うのも一つの方法です。ご本人が使う場合はもちろん、ご家族の介護に浣腸を使われる場合も、覚えておいていただくといいと思います。 三上:薬液を挿入する時は、感覚を確かめながらゆっくり入れる、と。 有廣:それから、高齢者の場合は、感覚が少し鈍くなっていることがあります。そのため、浣腸を入れる時に違和感に気づかず無理やり押し込んでしまい、浣腸が肛門や直腸粘膜をを傷つけてしまう恐れがあるので気を付けてください。トイレで立ったまま入れるのは避けるほか、浣腸の口のところに潤滑剤などを塗ってすべりをよくするのもいいですね。 三上:正しい使い方を知れば、必要以上に怖がったり敬遠しなくてすむようになりますね。 有廣:そうですね。便秘のままでいると気分が優れないだけでなく、食欲が落ちたり不眠にながったりして健康を損ねる場合もあります。浣腸などを上手に利用して排便リズムを整え、快適な生活を送ってください。 |